■診断には病歴の聞き取りが大切
■神経病に特徴的な異常行動を知っておこう
■痙攣発作にはさまざまな原因がある
■てんかん発作と心臓発作の違いを見分けよう
■薬でコントロールできないこともある
■てんかんは早期治療が大切
■薬の種類、投与の量や回数が重要なポイント
■頭部が震えるのは小脳の異常
■円周運動は脳神経の異常
■椎間板ヘルニアは脊髄神経の病気
■犬種に� ��り特徴的な脊髄の病気がある
神経の病気として、名前がよく知られているものには、てんかんがあります。これは脳神経の異常によって起きる病気で、周期的にけいれん発作を起こすのが特徴です 。
その他、神経病の主な症状としては、歩行障害などの「運動失調 」、いろいろな部位のマヒなどがあります。首を曲げる「斜頸」と呼ばれる症状も、神経病に特徴的に見られます。急に元気がなくなる状態、いわゆる「虚脱」状態になることもあります。また、腰が抜けたり、立たなくなるような状態も、神経病が原因で起こることがあります。
神経病の治療に際しては、果たしてその病気が急性か慢性か、現在病気は進行しているのかどうか、どこに異常があるのか、どんなタイプの異常か、異常の原因は何かということが特に重要です。
猫の毛玉や嘔吐
神経の病気によって、犬が異常行動を起こすこともあります。たとえば、「急に攻撃的になる」「恐怖を感じる」「異常に興奮する」などの異常行動があれば、神経病が疑われます。
診断に役立つ項目を表@にまとめましたので、参考にしてください。もし、あなたの犬に神経病の疑いがある場合には、これらの項目を事前にチェックして動物病院にく行くと、より早く、より正確な診断ができると思います。
不整脈とか低血圧などの心臓の病気が原因で、けいれん発作が起こる場合もあります。また、毒物などによる中毒でも、けいれん発作が起きます。中毒の場合には、ほとんどが原因となる何らかの毒物を摂取したあとに起こるので、比較的にわかりやすいことが多いのですが、少量ずつ長期間にわたって摂取した場合は、わかりにくいこともあります。
また、肝臓の病気(門脈 シャント)のために、けいれんが起こることもあります。この場合には、頭を壁などの押しつける動作がよく見られます。特に高齢犬で心臓病のある犬は、心臓病による発作なのか、てんかんによる発作なのか、判別しにくいことがあります。
心臓病を原因とする場合は、前兆がなく突然、発作が起きます。発作が起きやすいのは、少し運動したあととか、興奮したあとです。次に、心臓発作の続く時間は、10〜20秒程度で、長くても1〜2分で終わります。 そして、これが最もはっきりした特徴なのですが、心臓発作は発作のすぐあとに、正常な状態に戻ります。
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これに対して、てんかん発作は、ほとんどの場合、何か前兆があります。たとえば、ちょうど目の前のハエを追うように、目をきょろきょろさせ、不安そうな表情になり、そのあとで発作が起こります。また、てんかん発作は通常、心臓病による発作より持続時間が長いのが特徴です。短い場合は1〜2分で終わることもありますが、通常は5〜10分くらい続き、ひどい場合には、1〜2時間も発作がおさまらないこともあります。また、てんかん発作は治まったかなと思うと、少したってから、また発作が起こることがあります。つまり、発作が1度で終わらず、連続することがあります。
最後のポイントは、てんかん発作は、発作が終わったあとでも、なかなか元� ��状態に戻らないことです。てんかん発作のあと、ふつうの状態に戻るには、30分〜1時間くらいかかります。
これらのポイントを知っておけば、あなたの犬が発作を起こした場合、てんかんの発作か心臓病の発作かが、おおよそ判定できます。
その他の3分の1は、薬でかなりコントロールできますが、残りの3分の1は薬でのコントロールはなかなか困難です。薬でうまくコントロールできない場合は、発作を抑える薬の量を少しずつ増やしていくことが必要になります。そして最後には、いろいろな薬を組み合わせて与えても、なかなか発作が止まらない状態になります。さらに、薬を多く与えれば、ほとんど寝たきりの状態になってしまいます。
てんかんに対しては、このように治療に限界があります。動物のてんかん発� �のすべてが、薬で抑えられるものではないということを、飼い主の方は知っておいてください。
このように発作の起きる間隔が短くなればなるほど、てんかんは重症となります。ですから、てんかんの発作はできるだけ早く治療することが原則です。このことは、ぜひ強調しておきたいと思います。
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通常、この臭化カリウムは、バルビタールと組み合わせて使用されます。バルビタール系の薬の副作用が強いときは、組み合わせて使用してみるとよいでしょう。てんかん発作を抑える薬を飲んでいる場合は、たとえば半年に1回くらいの割合で、定期的に検査を受ける必要があります。特に肝臓に障害が出る場合が多いので、血液検査� �どを行うことが重要です。
小脳の病気の場合は、歩幅が広くなるとか、細かく震える症状がよく見られます。特に頭部の運動失調は、小脳の病気の特徴です。頭部が細かく震える症状は、食事を食べようとしたり、水を飲もうとしたときによく起こります。ですから、小脳の病気は、犬が食べたり飲んだりするときの状態から、よく発見されます。たとえば、水を飲もうとしたときに、うまく飲めず、顔を水のなかに入れてしまったりします。
斜頸はほとんど、前庭の疾患によって起こります。しかし、まれには、腫瘍、薬物、外傷、先天的な異常が原因になることもあります。
脳の病気が原因で起きる歩行障害に、円周運動があります。犬が、同じ方向に円を描いてぐるぐる回ることです。円の大きさは、小さい場合も大きい場合もあります。この円周運動が見られれば、通常、脳神経の異常が疑われます。
椎間板の病気は、できるだけ早く診断し、できれば手術をして治し、なおかつ内科 診療も併用するのがよい治療法です。しかし、すべての病院で手術ができるわけではありません。それなりの専門的な設備と知識をもった病院でないと、手術は難しいでしょう。
近くに手術のできる病院がなければ、内科療法のみで治療を行うことになります。そのような場合、最近は獣医学にも針や灸などの東洋医学の治療法が普及しつつありますので、それらを利用するのもひとつの方法でしょう。治療によって、すべての下半身のマヒが治るというわけではありません。しかし、たとえ下半身のマヒが治らなくても、最終的に膀胱のマヒがなければ、車椅子などで生活できる場合もあります。
ほかに、脊髄の病気には、椎間板髄膜炎といわれ、椎間板と隣接する脊髄が炎症を起こすものがあります。通常は、細菌感染を原因とすることが多く、抗生物質で治療します。
その他、いろいろな犬種で、特徴的な椎間板の神経的な病気があります。つまり、犬種によって、発症する病気がかなり特定されるということです。したがって、あなたの愛犬がどのような神経病にかかりやすいかは、あらかじめ知っておくとよいでしょう。
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